健康食品の被害9割は痩せる目的

 健康食品には明確な定義がなく、制度上は食品として扱われる。

一方、消費者の多くは特定の効果を期待して利用し、制度との間に大きなずれがある。2004年からウェブサイトで「『健康食品』の安全性・有効性情報(HFNet)」を公開している国立健康・栄養研究所は、10~16年の注意喚起、健康被害などの情報を集計し、結果を発表した。

専門家は、本当に自分に必要かどうかを消費者もよく見極めてほしいと話している。

 

 HFNetは、健康食品の最新ニュースや基礎知識、話題の成分の安全性や有効性の根拠に関する研究情報のほか、国内外の行政機関から、健康食品との関連が疑われる健康被害や摘発、自主回収などの情報を収集して掲載している。

 まとめによると、期間内に注意喚起があった情報は計2124件だった。

そのうち国内情報は276件で、注意喚起の理由としては、本来は食品に入っていてはいけない医薬品成分の「混入・表示」が85%で最多。

使用目的別では性機能改善が64%と過半数で、次いで痩せる目的が19%だった。

 

 注意喚起情報のうち、健康食品の摂取と関連があるとして公表された健康被害の情報は世界で181件。

うち国内は22件で、内訳は21件が医薬品成分の混入、残る1件は有毒な植物成分が含まれていた。

20件は錠剤かカプセル、残りは粉末とティーバッグの形だった。

 22件の使用目的別で、痩せる目的が20件と91%を占めた。

被害を受けたのは19人が女性。20代7件、30代6件、10代3件と、特に若い世代で目立っている。

 

 ただし「この数字には注意が必要だ」と同研究所の佐藤陽子・健康食品情報研究室長。

「行政当局が健康食品と健康被害の関連を公表するのは、因果関係がある程度はっきりしたものだけ」だからだ。

医薬品成分は健康への影響がよく分かっているため因果関係が特定しやすい。

若い女性が目立つのも、高齢者に比べてほかに医薬品を飲んでいることが少なく、健康食品の影響がはっきりしやすいためだという。

 「健康食品を取った後に体調が悪くなっても、多くの人は買ったり食べたりすることをやめるだけで、通報することはまれ。実際の被害はずっと多いはずだ」と佐藤さんはみている。

 健康食品に詳しい国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子安全情報部長も、健康被害について「報告はごく一部だろう。薬と違って健康食品にはどんな成分がどんな形でどのぐらい入っているかが分からず、ほかの食品や薬との相互作用も不明。因果関係はまず特定できない」と話す。

 

 畝山さんは「食経験のない物には特に注意が必要」と強調する。

古くからの伝統的な食品でも、少量を煮て食べていた物を粉末にして大量に口にしたりすれば、思わぬ影響があり得るという。

ダイエット目的の利用が多いことにも、日本の若い女性は将来の骨粗しょう症が心配なほど痩せ過ぎが懸念されており、必要性は疑問だとした。

 畝山さんは「病気の治療や予防効果に科学的根拠があるのならそれはもう医薬品だ。本当に必要な体調なら医師の診察を受けるべきで、健康食品を薬代わりにするのは間違った考え方だ」と言い切った。

 国立健康・栄養研究所はHFNetを順次リニューアルして、情報の更新をスピードアップする。

併せて、同じ名前で開設しているフェイスブック、ツイッターなどソーシャルメディアを通じて、より分かりやすい情報発信をしたいとしている。

 

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