ロコモ予防で健康寿命を長く、自分で確認から

 運動機能の衰えを示す「ロコモティブ症候群」という言葉を日本整形外科学会が2007年に提唱してから9年。

啓発が進み、メタボリック症候群が「メタボ」と呼ばれるように「ロコモ」という略称を聞く機会も増えた。

日常生活に支障がないと思っていても、幾つかの"ロコモのサイン"が当てはまると、要介護や寝たきりになる危険性が高まることが分かっている。

進行を防ぐには、できるだけ早く衰えの兆候に気付き、運動を心掛けることが大切だ。

 

 学会は「ロコモチャレンジ!推進協議会」(東京)を設け、普及啓発を進めてきた。協議会委員長であるNTT東日本関東病院(東京)の大江隆史整形外科主任医長によると、ロコモになる原因は運動機能に関わる器官である運動器のけがや病気。

主に「骨粗しょう症や骨折」「関節軟骨や椎間板の異常」「筋肉虚弱や神経の異常」の三つだ。

 「自立した生活ができている高齢者でも、運動機能や骨密度は気付かないうちに低下する。それを放置すると、ドミノ倒しのように次々に悪くなる」と大江さんは注意を促す。

13年の厚生労働省調査では要支援、要介護になった原因の25%は運動器の障害だった。

 学会は日常生活でのロコモのサインとして「片足立ちで靴下がはけない」「家の中でつまずいたり滑ったりする」「階段を上るのに手すりが必要」などの7項目を挙げている。

 

 学会では13年から「ロコモ度テスト」も導入した。

高さ10~40センチまで10センチ刻みの台に座った姿勢からの「立ち上がりテスト」で、下半身の筋力を測る。

「2ステップテスト」はできるだけ大股で2歩進み、その長さを身長で割る。

筋力とともにバランスや柔軟性が分かる。

痛みやしびれ、つらさなど25の設問で、自覚症状も評価する。

 協議会では講演会や健康教室を利用してテストの体験者を増やしているほか、テスト用品を有償で提供し活用を呼び掛けている。

痛みや困難を感じている場合は、テストでなく医師の診察を受けることが必須だという。

 大江さんは「健康寿命を延ばし、団塊世代が75歳を迎える『2025年問題』に備えなければならない」と訴える。

「衰えに気付いた人が機能を保つ生活に変えられるかどうかが大切」と自助努力の必要性を強調した。

 

 浜松市にある整形外科医院の院長、藤野圭司医師は「病院に来るようになってからでは遅い」と話す。

藤野さんが患者約400人に要支援、要介護の申請をしてもらったところ、既に9割が要件を満たした。

「運動を勧めても、転倒が怖くて外に出ず、さらに弱っていく人も多い」という。

 藤野さんのお薦めのロコモチェックは「片足立ち」。

「片足立ちは歩く動作の一部。バランスを取って立つだけでも、筋力や神経など相当に複雑な運動になるので、ふらつくかどうかで初期の衰えが分かる」からだ。

片足でバランスを取る運動は、ロコモ防止の体操にも取り入れられている。

 

 藤野さんは13年、NPO法人「全国ストップ・ザ・ロコモ協議会」を設立し、理事長に就任。

健康事業を手掛ける自治体と連携した高齢者への指導に力を入れている。

 自治体と、実際に住民に予防体操などを指導するボランティアとの間に立って実務を調整する「ロコモコーディネーター」の資格制度を設けた。

理学療法士や看護師、保健師ら医療専門職が対象で、講習と試験により既に720人を認定。将来は全国で1万人に増やすのが目標だ。

 

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