転ばぬ知恵

 交通事故死を上回る年間7千人超の死亡につながっている「転倒」を減らそうと、予防策の普及に取り組んできた医師らが今年4月、日本転倒予防学会を発足させた。

死亡に至らない場合でも、転倒は重い障害や骨折、寝たきりの原因にもなる。

高齢化の進展により、手を打たなければ今後さらに増えるのは確実だ。

関係者は「予防の知恵を社会全体で探り、共有していきたい」と意気込んでいる。

 

 厚生労働省人口動態統計によると、1995年に約1万5千人だった交通事故死は2012年には6414人と半分以下に減少。

これに対し転倒・転落による死亡はじわじわと増え、12年には7761人に達した。大半が65歳以上の高齢者だ。

 「交通死亡事故の減少は国と社会が『減らそう』という強い意志で動いた結果といえる。転倒にも同様の取り組みが必要な時期だ」と、学会理事長に就任した武藤芳照・日体大総合研究所所長(スポーツ医学)は話す。

 

 整形外科医として早くから転倒予防の必要性に着目していた武藤さんは、97年から東京の病院を拠点に、高齢者に生活上の注意や体操を有償で指導する予防教室を12年間続けた。

これが注目され、指導を求める声が全国から寄せられたため、04年に医療・介護関係を中心とする多職種による転倒予防医学研究会をつくり、指導者の育成などを進めてきた。これを今回、学会へと発展させた。

 学会名には「医学」を入れなかった。

交通機関、店舗、行政など、医療や介護以外の幅広い分野の関係者も巻き込んで研究し、社会に還元したいという狙いだ。

 

 武藤さんによると、転倒に気を付けるべきなのは高齢者に限らない。

一般に50歳を超えると転びやすくなる人が少しずつ増える。

転倒は脚力やバランス能力の衰えなど、体の異常を知らせる警告サインであり、生活環境と自分の体の両方を、転びにくい方向に改善する心掛けが必要だという。

 まず環境。武藤さんは転びやすい所を「ぬ・か・づけ」と呼ぶ。

「ぬ」はぬれた所、「か」は階段と段差、「づけ」は片付けていない所を意味する。

ぬれていれば滑りやすい。階段は降りるときに足を踏み外すケースが多いが、上る際につま先が十分上がらずにつまずく場合もある。

転倒場所は意外に家の中が多いので、床の上の物を片付けるだけでも予防になる。

 

 転びにくい体をつくるには、毎日の生活の中でこまめに体を動かし、無理のない運動を続けることが大切。

転倒予防医学研究会では、高齢者が楽しみながら続けられるプログラムとして太極拳を応用したリズム体操や、いすに座って足で空中に文字を書く「足文字」など、家の中でテレビを見ながらでもできる体操を紹介してきた。

 足の裏の感覚を磨くこともお勧めだ。

武藤さんは「気温が上がるこれからの季節は、家の中でスリッパをやめるチャンス」と話す。

はだしになり足の裏で床や畳をじかに感じることは足指への良い刺激になる。

何か履きたい場合は、鼻緒がついたものや5本指靴下など、足指を使ったり意識したりできるものがいい。

 目標は転倒の予防だが、転倒への恐怖が強すぎてもいけない。

「転んだらおしまいではなく、転んだら起きればいいという気持ちも広めたい」と武藤さん。

そうした思いを込め、10月に東京で開く最初の学術集会のテーマは「転倒を予防し希望への道を拓(ひら)く」とした。

 

※素足で歩くときに「冷え」にも気をつけてください。足が冷えてきたなと感じたら、靴下、スリッパで冷やさないようにしましょう。

 

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