インターバル速歩で介護予防

 そろそろ運動するのによい季節です。

歩くことから始めませんか。

 

 生活習慣病対策として本当に大切なのは体力。

熟年世代の健康づくりを学術面などから支援する機関として信州大学や松本市、民間企業などの共同プロジェクト『熟年体育大学リサーチセンター』の理事を務める能勢博氏(信州大学医学系研究科教授)は、セミナーで講演し、筋力・運動能力の維持により生活習慣病予防をはじめ、高齢者の介護問題や医療費抑制にも期待できることを強調した。

能勢教授が提唱する運動法“インターバル速歩”は、遺伝子レベルでも効果が明らかになってきており、国内外から高い注目を集めている。

能勢教授の取り組みや運動法についてまとめた。

 

介護予防には筋肉・持久力が重要

 能勢教授が開発したインターバル速歩は「ややキツい」と感じる速歩き3分と、普通歩行3分を繰り返す歩き方

1日のトータル歩行時間が12分(速歩2回・普通歩行2回以上)程度から始めることが基本で、毎日歩けない場合は1週間の歩行時間が60分以上になるよう回数と時間を設定することを推奨している。

能勢教授は「体力低下と一人当たり医療費は相反関係にある。

そのため体力が低下し始める30歳を過ぎるくらいから運動を始め、要介護状態をできるだけ先に延ばすことで医療費抑制につながる」との考えを語った。

 

 まず最初に調査したのが1日1万歩のウォーキング

1年間ほぼ毎日ウォーキングを行った人の運動効果をみたところ、体重・体脂肪率の低下や血圧低下などが示されたものの、体力面においては脚の筋肉や持久力などの介護予防において重要な部分が全く増加していないとの結果が示された。

そこで能勢教授は、マシン等を用い筋力・持久力のトレーニングテストを行い、その結果筋トレと持久性トレの両方で最高酸素摂取量・膝伸展筋力が上昇するとの結果を得た。

ただ、このようなマシンを用いた積極的な筋力・持久力トレーニングでは体力は向上したものの、一般生活者が行うには経費などで負担が大きく、そこで能勢教授が誰でも簡単に継続して行える方法として開発したのがインターバル速歩だ。

 

体力20%向上、高血圧や高血糖は20%改善とのデータも

 現在、熟年体育大学で行っているトレーニング方法としては、インターバル速歩を行う際に、運動の強度を正確に測って記録できる機器を装着する。

トレーニング後はそれを、例えば地域の公民館や薬局など拠点とする場所に持参して、そこから機器に記録されたデータを熟年体育大学へ送信。

熟年体育大学では個人の血圧や体重、体脂肪から食事やメンタル質問結果などの健康データを管理しており、送られたデータを自動分析して簡単なコメントを表示して返信することで、参加者に対し遠隔指導を行えるシステムとなっている。

加えて、担当の保健師や栄養士、薬剤師など専門家からのアドバイスも受けられるなど、個別の運動トレーニングの実践をサポートしている。

 

 インターバル速歩を行った際の効果に関しては、5カ月間のトレーニングの実施で介護予防指標である太ももの筋力や持久力が上がり、体力指標がおよそ20%向上した。

さらに、体力上昇に応じて生活習慣病指標である最高・最低血圧、空腹時血糖値、BMI、中性脂肪・HDLコレステロールなどが改善され、特に血圧・血糖・BMIは運動に感受性が高くおよそ20%改善。

こうした結果を踏まえ能勢教授は「生活習慣病対策として本当に大切なことは体力を増加させること」との見解を語った。

 

 速歩ということで、特にシニアでは身体への負担を懸念するところだが、参加者へのアンケートでは約5割がトレーニングによって慢性膝関節痛が改善したと回答。

また医療費削減に関しても、インターバル速歩を行うことで体力増加につながり、約20%の医療費が削減されたとのデータが示された。

 最近の研究では、インターバル速歩にがんや生活習慣病などの原因となる体内の炎症を抑える効果があることもわかってきたと能勢教授は説明する。

ここでキーとなるのが炎症を起こす遺伝子の働きを抑える“メチル化”で、そのメチル化は加齢とともに低下していくが、インターバル速歩はメチル化を亢進させるため健康維持に効果があるといった遺伝子レベルでのメカニズムがわかってきたという。

 

「インターバル速歩+牛乳」で筋肉量を維持

 食品との併用についても解説し、能勢教授はインターバル速歩などのややキツめの運動の直後に牛乳などの乳たんぱく質と糖質の摂取を推奨する。

これに関しては、トップアスリートなどの栄養サポートなども行っているしょくスポーツ代表の公認スポーツ栄養士・こばたてるみ氏が解説し、運動直後に摂取した方が筋肉へのグルコースの取り込みが多く、筋量が増えるとのデータを示し「運動後できるだけ速やかに摂取することが望ましい」と強調した。

 

 こばた氏は、乳たんぱく質の有用性を説明する一方で、日本人の栄養摂取状況がたんぱく質の不足により“低栄養”となっていると指摘する。

国民健康栄養調査によると、日本人の1日あたりのたんぱく質摂取量は、1990年代後半までは高位安定しているものの、2009年では戦後レベルまで減少していることを示し、子どもの体力低下、若年女性を中心とした不健康なダイエットによる痩せすぎ、貧血や肌荒れ、中年の肥満者増加、高齢者の低栄養による免疫力低下や骨粗鬆症リスクなど、現代の健康問題にたんぱく質摂取不足による筋肉量・筋力の低下が関わっていることを強調。

「栄養価の高い牛乳を上手く活用し、普段の食生活の中に取り入れることが大切」とまとめた。

 

 能勢教授の言うように、インターバル速歩+牛乳の健康法は、特別な能力や道具が必要なく、誰でも手軽に行える点でも優れた特徴といえる。

メタボやロコモティブシンドローム、さらに筋肉量が減少するサルコペニアなどの対策が求められる現代において、この取り組みは今後さらに注目を集めていきそうだ。

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